大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2995号 判決

〔抄 録〕

第一点(法令適用を遺脱した違法)について。

原判決が被告人に対する贈賄幇助の事実について、罪となるべき事実の第二として、被告人西川芳雄は昭和二五年十一月二十日頃原審相被告人平清次方に於いて同人より同相被告人松山豊太郎が物品税逋脱の事実を発見し第二帳簿を持ち去つたが多額の罰金を科せられるかも知れない。ついては松山に金員を供与し穏便な取計らいをして貰うよう他に記載がないと思うが、幸い松山と面識ある間柄であるから金円供与の仲介をされ度い旨の依頼を受けてこれを承諾し即時同所において前記紙包を預り、同日午後五時過頃前記松山豊太郎の自宅に於いて同人に対し平清次の物品税逋脱については穏便な取計いをされたい旨を申向け、同人の職務に関し報酬名下に前記五千円の現金を提供しもつて右平清次が賄賂を供与することの幇助をしたとの事実を認定し、これに対する適用法律としては、刑法第百九十八条、第六十二条第一項だけを掲げ、被告人に対し右平清次と同様に懲役三月三年間執行猶予の言渡を為し、刑法第六十三条を掲げていないことは所論のとおりである。そして、幇助犯に対しては、右刑法第六十三条を適用して法定減軽を為すべきものであるから、原判決が右法条を掲げることを遺脱したことは、適用すべき法条を適用しなかつたものとして、法令適用の誤があることに帰するのである。更に右法令適用の誤は、原判決が前記のように、刑法第百九十八条、第六十二条第一項を掲げているに過ぎないとしても、主文においては、右刑法第六十三条、第六十八条による法定減軽をした場合と同様の刑期範囲内において被告人に対し懲役三月三年間執行猶予の言渡をしているのであるから、直ちに、刑事訴訟法第三百七十八条第四号の理由を附せず又は理由にくいちがいがある場合には該当しないものと解すべきであるが、右刑法第六十三条、第六十八条による法定減軽は刑法第百九十八条の場合には、法定刑の各二分の一を減じた刑期及び罰金額の範囲内において量刑処断することとなるのであるから、これを正当に適用した場合とその適用を遺脱した場合とを比較すると刑の量定の上に相違があるものと考えられ、刑の量定の相違は直ちに判決主文に変更を来す性質をもつているから、刑事訴訟法第三百八十条の法令適用の誤が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に該当するものと解せられるのである。論旨は理由がある。

註 本件はこの他量刑不当の理由も加えて原判決を破棄している。

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